「無限小という実数がは存在するのか」という質問の答えはNOです。
無限小という実数は存在しません。
これについて、考えます。
無限小とは
無限小という実数は存在しませんが、無限小という用語は数学でもよく使われます。
存在しないのに、なぜ数学で取り扱われるのでしょうか。
それは無限小という概念が数学にあるからです。
高校数学までの範囲では、無限小という概念は取り扱っていませんが、説明の便宜上、非常に小さい実数の事を無限小とみたてることがあります。
しかし、本来どんなに小さな実数であっても、それは無限小ではありません。なぜなら、その無限小よりさらに小さい実数が存在するからです。
つまり、説明の便宜上無限小とみたてた実数は無限に小さくないのです。
実数とは
そもそも実数の定義をしなくては、無限小という実数が存在する、しないの議論はできません。
実数の定義はそう簡単ではありませんが、実数の概念は多くの人が持っています。
それは、小数の存在を知っているからです。
実数とは、わかりやすく一言でいうと、小数の事です。
ですから、ここでも実数といえば、小数の事として取り上げます。
それでは、無限小が存在するとすれば、小数でどのように表示されるのでしょうか?
存在するのであれば、小数で表現できるはずです。
あえて、無限小を小数形式で書くとすると、
0.000…
となりますね。
つまり、(整数部分がゼロで小数点以下に)ゼロが無限に並んだ小数、もし無限小が実数で存在するのであれば、こうなります。
もし、小数点以下にゼロでない数が出現したならば、それよりさらに小さな実数の存在が明らかであり、その実数は無限に小さいとはいえなくなります。
しかし、一方、0.000…は、ゼロです。小数点以下が無限にゼロであるのなら、小数点以下はないものとみなされるため、0.000…=0
つまり、無限小はゼロとなってしまいます。
こうなると、無限小を小数で表すことはできない事を認めざるを得ません。
つまり、無限小という実数は存在しないという事です。
再び無限小とは
ここまでの流れを整理すると、
- 実数とは、小数の事である。
- 小数には無限に小さな数は存在しない。
- ゆえに、無限小という実数は存在しない。
こういう論法でした。
ここでは、「無限に小さい」とは、「ゼロでも負の数でもない数で、他のどの実数よりも小さい」という意味で使っています。
ここで議論を終わりにしてよいのでしょうか。数学で存在しない無限小を便宜上とはいえ、使用することに意味があるのでしょうか。
もうすこし、注意深く結論を読み解くと、ここでの結論は、「無限小は(実数としては)存在しない。」です。
ここに突破口があります。
実数の概念を広げれば無限小が存在する可能性があるからです。
実数の概念をどう広げるのか、これによって無限小の存在が左右されます。
実は、人それぞれに実数の概念の広げ方があります。厳密にその広げ方を説明できる人はそういないはずです。それは、実数の広げ方を説明する手段が数学的にも乏しいからです。
なんとなく、普通の人は実数の概念を広げています。つまり、「ゼロや負の数でもなく、どの実数よりも小さな数」を単純に追加した数の体系で実数の概念を広げます。
実数に、無限大(∞)といういかなる実数よりも大きな数を追加するのと同じ考え方です。
念のために書いておきますが、無限大は実数ではありません。なぜなら、計算すること(四則演算)ができないからです。単に大きさの比較だけができる数です。
無限大も同じです。無限大という実数が存在するかと言われると、「実数としては存在しない」しかし、概念としては考えることができる。
これと同じ事が無限小にも言えてるわけです。
結論
「無限小という実数は存在するか」の答えは、「(実数としては)存在しない」となります。